「翡翠(ひすい)」と聞くと、まずはエメラルドグリーンの艶やかな石を思い浮かべる方も多いかもしれません。

ところが実際には、翡翠と総称される石には 「硬玉(ジェダイト/ジェイダイト)」と「軟玉(ネフライト)」 という2つの大きく異なる鉱物が含まれます。

英語ではどちらも “Jade(ジェイド/ジェード)” と呼ばれ、一緒くたに扱われがちですが、実は別物。

その違いはまるで「イタリアンブランドの革靴」と「イギリスの老舗ブーツブランド」くらい、はっきりと分かれています。

さらに、翡翠には驚くほど多彩なカラーバリエーションがあり、緑だけでなく紫や白、黒、赤、黄、オレンジなど、その姿はまさに “カラフルな翡翠パーティ”。

今回はそんな翡翠の種類について、わかりやすくまとめてご紹介します!

翡翠(ひすい)は2種類あるってホント?

ミャンマー産 緑 翡翠 ヒスイ 8mm玉ブレスレット 23.5g 【榎本通商 85821】

翡翠(ひすい)と呼ばれる石には、大きく分けて下記の2種類があります。

  1. 硬玉 (Jadeite / ジェダイト・ジェイダイト)
  2. 軟玉 (Nephrite / ネフライト)

一括りに「翡翠」といっても、この2つは鉱物学的にはまったく別グループ。

日本では主に硬玉こそが「本翡翠」とされており、東洋では古来より愛され続けてきました。

2016年には“ヒスイ”が日本の国石に制定され、5月の誕生石としてもエメラルドと並んで親しまれています。

硬玉 (Jadeite / ジェダイト・ジェイダイト)

  • 特徴: 硬度が約6.5~7と高めで、透明感と鮮やかな色合いを持つものが多い
  • 産地: 主にミャンマー(特に有名)、グアテマラなど
  • イメージ: 「宝石としての翡翠」といえばこれ! 東洋の王道的存在
  • トリビア: 中国産というイメージがあるかもしれませんが、実は質の良いジェダイトは中国ではほぼ産出されず、ミャンマーが世界的な主産地。最高品質の深く透明感ある緑色は「琅かん(ろうかん)」と呼ばれ、非常に希少価値が高い。

軟玉 (Nephrite/ ネフライト)

  • 特徴:硬度は約6~6.5。繊維状の結晶構造で粘り強く、割れにくい
  • 産地:ロシア、カナダ、ニュージーランド、または中国など各国で産出
  • イメージ:深みのある落ち着いたカラーが魅力で、古くから彫刻や装飾品に重宝されてきた

翡翠(ヒスイ)は誕生石ではない?どれが正しい?

正式な日本の誕生石として、翡翠(ヒスイ)は5月の誕生石に選ばれています。

しかし、「硬玉 (Jadeite / ジェダイト・ジェイダイト)」の方だけです。

そうなんです。
つまり軟玉 (Nephrite / ネフライト)の翡翠は誕生石ではありません。

カラー別に翡翠(ひすい)の種類を分類

翡翠といえば “緑” のイメージが強いですが、実はパレットを倒したような多彩な色合いを楽しめます。

まるで同じブランドが“春夏モデル”“秋冬モデル”と、季節ごとに新作を発表しているかのように、次々と色の魅力を見せてくれるのです。

緑色系の翡翠

  • 代表例: インペリアルジェイド (Imperial Jade)
  • 特徴: ミャンマー産の透明感あるエメラルドグリーンが絶品で、翡翠界の“ハイブランド”ともいわれる
  • ポイント: 濃く鮮やかな緑は希少でオークションでも高値がつきやすく、「ろうかん」と呼ばれる極上のジェダイトは特に珍重されます

    白色系の翡翠

    • 別名:ホワイトジェイド、白翡翠
    • イメージ:雪のような純白の色合いで、清らかさと上品さが際立つ
    • ポイント:淡いグリーンの筋が入っている場合もあり、まるで雲海の中に浮かぶ山頂を思わせる優雅な雰囲気

    黒色・灰色系の翡翠

    • 黒翡翠 (Black Jade) と呼ばれる場合も
    • イメージ:深い夜の闇を固めたような静かな美しさ。クールでシックな印象
    • ポイント:大人っぽいアクセサリーに仕上がることが多く、男性にも人気

    紫色系の翡翠

    • ラベンダージェイド (Lavender Jade)
    • イメージ:優しい藤色やライラックのような色合いで、和服やアジアンテイストにもマッチ
    • ポイント:緑色翡翠とは異なる、女性的で柔らかな印象が魅力

    赤色・黄色系の翡翠

    • 赤翡翠 / 黄翡翠 と呼ばれるもの
    • イメージ:極めて珍しいカラーバリエーションで、まるで秋の紅葉を閉じ込めたような温かみ
    • ポイント:コレクター心を刺激するレアカラー。部分的に赤や黄の染みが入っているものも

    産地別に翡翠(ひすい)の種類を分類

    翡翠の魅力は色だけでなく、産地ごとに異なる個性があります。

    ここでは代表的な産地とその特徴をご紹介します。

    ミャンマー産 (硬玉)の翡翠

    • 概要: 翡翠(ジェイダイト)の本場。宝石品質のエメラルドグリーンが特に有名。
    • 特徴: 最高品質の深緑は「インペリアルジェイド(帝王翡翠)」とも呼ばれ、オークションで高値がつくことも。

    ロシア産 (軟玉)の翡翠

    • 概要: ダークグリーン寄りの色合いが多い「ネフライト(軟玉)」を産出。
    • 特徴: 繊維状の結晶構造による粘り強さがあり、古くから彫刻や工芸品に用いられてきた。

    糸魚川産 (日本・新潟)の翡翠

    • 概要: 日本でも古くから知られ、縄文時代より勾玉や装飾品に利用された歴史がある。
    • ポイント: 鉱物学的には 「硬玉(ジェイダイト)」 が主体で、白〜淡い緑色をはじめ多彩な色合いを持つ。
    • 国石に指定: 2016年に“ヒスイ”が日本の国石に制定された際には、この糸魚川産ジェイダイトが大きな注目を集めた。

    カナダ産 (軟玉)の翡翠

    • 概要: 「カナダジェイド」と呼ばれることもあるネフライトが広く産出される。
    • 特徴: 明るめの緑から深緑まで色幅があり、彫刻やアクセサリーに活用されている。

    グアテマラ産 (硬玉)の翡翠

    • 概要: 深い緑色や黒っぽいジェイダイトを産出。
    • 特徴: 古代マヤ文明で神聖視された歴史があり、近年はその文化的背景も含めて再評価が進んでいる。

    翡翠(ヒスイ)の注意点

    翡翠は比較的硬度が高いとはいえ、取り扱いにはやはり注意が必要です。

    1. 硬度に油断しない
      • 「硬玉(ジェダイト/ジェイダイト)」でも落としたり衝撃を与えたりすると欠ける可能性があります。大切に扱いましょう。
    2. 染色や樹脂含浸に注意
      • 市場には色を鮮やかに見せるための処理が施されたものも。購入時は販売店の信頼性と処理の有無をしっかり確認しましょう。
    3. 色・透明度・テクスチャーをチェック
      • 翡翠は自然のムラやインクルージョンがあることも多く、それを「唯一無二の個性」として楽しめるのも醍醐味。
      • ただし、色の均一さや美しさ、光沢(テリ)の良さが際立つほど市場価値は高くなる傾向にあります。

    最後に

    翡翠(ひすい)と一口にいっても、「本翡翠」とされる 硬玉(ジェダイト・ジェイダイト)軟玉(ネフライト) という2つの鉱物が存在し、それぞれが緑・白・黒・紫・赤・黄色などの多彩な色を見せてくれます。

    特に硬玉(ジェダイト・ジェイダイト)はミャンマーで多く産出され、深く澄んだ緑は「ろうかん」として珍重されるほどの高い価値を持ちます。

    日本でも、糸魚川産の翡翠が古代から勾玉や装飾品に使われてきたように、翡翠は国境や文化を越えて人々を魅了してきた不思議な誕生石です。

    2016年には日本の国石にも制定され、エメラルドと並ぶ5月の誕生石としても広く親しまれています。

    もし翡翠を手に取る機会があったら、ぜひ「硬玉か軟玉か?」そして「どんな色や産地なのか?」にも注目してみてください。

    大地のパワーと長い歴史を携えた翡翠の世界が、あなたを一層魅了してくれるはずです♪